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PLOTTERが革を使う理由
vol.1

PLOTTERのアイコンアイテムでもあるレザーバインダー。その素材へのこだわりは実は尋常ではない。

昨今、いろいろと問われる環境問題。それを耳にする機会が多くなればなるほど、この「レザーバインダー」はもちろん、その原点である素材“皮革”というものについて、これまで以上に深く考えるようになった。

というのも、巷で皮革自体の存在意義がごくごく一般的に論じられるようになったからだ。

たとえば、環境問題で取り沙汰される、地球が直面している大きな課題 “温暖化”。これは、もう待ったなしで、地球に生きとし生けるあらゆる生物たちにとって持続可能な環境を維持するためには、決して無視しては通ることができないハードルとなってきた。それは間違いなく皮革産業にとっても。

そんな中ひとつのステータスとなりつつある、次世代の肉と言われる植物肉がその時代背景を象徴している。そういった代替肉が生まれた底流には、「動物の皮を使って、可哀想ではないか」という動物愛護の観点や先述の環境問題、つまり畜産業における温室効果ガス(二酸化炭素)排出による温暖化への寄与という視点が含まれるのであろう。

一方で、いわゆる本革をつくる生産現場をよくよく探ってみると、革製品として流通している牛や豚などは、ただ皮を取るために畜産されているのでは決してなく、そのほとんどが食肉として加工された最終的な副産物。一部は、病死や寿命で亡くなった動物の皮も利用されているぐらいだ。

この事実から鑑みるに、私たち人間の必要不可欠な栄養素としていただいた命の、畜産における“副産物”を余すことなく利用しているという意味において、実は皮革産業はとてもエコ的なのである。

そもそも本革のルーツを探るとそれは遠い昔古来にまでさかのぼり語ることができる。人類は、食べるために、生きるために、狩猟を行い、その副産物である皮革を衣服として纏う術を身につけ、有史以来このスタイルは私たちの生活様式としてDNAに深く刻まれるほどになった。

つまり、本革は、すでにその当時から人類の生活用品の一部となっており、食肉加工の過程において、自分たちの生命を維持させるために必要な分だけいただいた命の最終的な副産物としてごく自然に位置づけられていたのだ。

この“必要な分だけ”という適正消費量の概念がとても大きな意味合いを持つ。皮革を作る(創る)という文化は、ある意味“自然”に寄り添った営みから生まれたもの。適正な量でサイクルを回すバランス感を注意深く保っていれば、比較的地球にやさしい産業なのでは?と推察してみた。

モノやサービスが過剰に溢れる現代社会。本革を使ったプロダクトにも間違いなく「果たしてそれは本当に必要なのか?」が常に問われ、開発においてその思考はこれまで以上に重要なプロセスとなってくるだろう。

ご存じの通り、PLOTTERのアイテムには皮革製品が多い。しかし、それはやみくもに作られているのではない。まず、プロダクトとしてシンプルで本質的であり、使う人の創造力を根底で支えるために考えられており、さらには、廃棄されるだけの運命にある副産物としての皮革を無駄なく利用するという意味で、PLOTTERのものづくりには実は社会貢献に対する“意義深い”こだわりが存在したのだった。

 

次回、マガジン「PLOTTERが革を使う理由 vol.2」では、本革という究極の素材が放つもうひとつの価値を考えていきたいと思う。