DP PAPERものがたり
Vol.2
たった一枚の紙、
わたしたちはこれをあえて“道具”と呼ぶ——
いわれも知らぬあまねく先人たちの
知恵とノウハウから培われてきた技術の結晶
“紙PAPER”。
デジタルと仮想空間に
まみれつつある世の中にあっても
生き残る一枚のプロダクト。
薄く、はかないたった一枚の紙も
ひとたび重なり、積み上げられれば
わたしたちの眼前に
その存在感をしっかりと示す。
それはもはや私たち人間と
切っても切れぬ道具であり
これからも残り続ける——
すごく簡単ではあるものの、紙というプロダクトの回顧録に終始した前回。
最後に登場した“リング付きの手帳”とは、すでに読者もご存じの『システム手帳』なるもの。ページが完全製本されたノート仕様とは真逆の、ある意味リフィルの製本自体を使う人に委ねた自由編集可能なノートというわけだ。それが故に、その自由さを一度味わうとこれがなかなか逃れられない魔力!?を持つ。そして、案の定というべきか、本革製のシステム手帳が素材もさることながら機能的にも進化する中で、ふとその中身はいったいどうなのか?と問い続ける日々がやってくることになる。
「この重いシステム手帳と硬いリングに相応しい紙とはなんぞや?」と——
紙の長きにわたる歴史には負けるが、たっぷりと月日をかけ、私たちなりに答えを出し、ようやく形となったのが我らが『DP PAPER』
前述の通り、システム手帳は革製で、しかも金属のリングが付いている。すでにこの時点で重厚感も重量感もいっぱいなわけだが、一転、毎日手にする手帳に挟む紙は限界まで薄くかさばらず軽くしたい!という想いが『DP PAPER』開発のスタートだった。手帳は書くための道具であり、しかも携帯する道具なのである。
一方で、それに相反する紙の耐久度、つまり、大小さまざまある硬いリングに挟んでも極限まで破れにくくする!という二律背反の開発条件にきちんと立ち向かわなければ、書く人にとってはただただ悲しい結末になってしまうわけだからそこは慎重に開発を進めなければならない。
さらには、ペンとの相性も忘れずに。万年筆のニブや数あるペンの先端にとって心地よい滑りの表面づくり、そしてインクの裏抜けやにじみにもできる限り気を配ったマルチペーパーをも目指すことになる。
と、実に製造現場泣かせの欲張りな発想から形にするまで数年の時を経て、ようやくブランドあげての自慢の一枚に仕上がった。
つづく