革の本場イタリアにも負けないタンニンレザーを作り出す日本屈指のタンナーだから実現できた「ホースヘアー」。昨今、一枚一枚の味ある表情作りなどは二の次でいかに効率よく仕上げ工業製品のように素早く作られる革が多い中、今でも伝統の技を大切にしながらも独自の鞣し方法を追求し続ける研究熱心なタンナーに出逢えたのは本当に幸運でした。「ホースヘアー」に使われている革は、一度鞣し完全に乾かしてこの段階でも皮革として十分成り立つ革を、再度同じ鞣し工程に戻し手間をかけて仕上げているため、通常のタンニンレザーよりもさらにコシと味に深みが増した優れた素材です。
仕上がった当初はもちろんフラットなスムースレザー。100%植物タンニン鞣しの革はその風合いを存分に楽しんでもらえるように、スムースの状態のまま製品になっているのをよく見かけます。
私たちは、このスムース状の革に馬の繊細なたてがみを模ったエンボスをわざわざ施すことで、ナチュラルな風合いの中にもPLOTTERらしいモダンさを表現することにしたのです。
そのエンボスは鞣しの職人と並び、型押しのプロフェッショナルの手で一枚一枚、そして一部分一部分丁寧に仕上げられています。革の厚みや風合いは個々の革はもちろんのこと、一枚の中でも部分によって異なります。職人たちはそんな生き物である素材を相手にし、五感を研ぎ澄まして個性ある皮革と対話しながら、温度設定やプレス時間、圧力などを微妙に変化させて美しいエンボスレザーをまさに“創造”しているのです。
これこそ熟練のクリエイティブワーク。
“PLOTTER”のコンセプトはプロダクトの原点である「革」という素材にもしっかり宿っています。