バダラッシ・カルロだからこそ作れる
LiscioとPueblo
2020年以降長きに渡るコロナ禍を経て、
PLOTTERのレザーバインダー「Liscio」「Pueblo」の革を作っているタンナー“バダラッシ・カルロ社”二代目オーナーであるシモーネ・レミ氏と実に3年ぶりの再会を果たした。
シモーネ氏の口から語られる言葉は一言一言に重みがあり、それは現代社会に対する警鐘的メッセージでもあり、いい意味でモノづくりに対する頑なな姿勢と思想は全くブレていないことに安心感と敬意を抱いたものだ。
『本当のエコとは!?』
SDGsがある意味社会現象となって久しいが、そもそもその本質的な意義をどれだけ私たち人間が理解し、行動を起こしているかといえば、私自身も大手を振って語れる要素は少ないなと、自責の念に苛まれてしまう。
シモーネ氏は実にドラスティックに
「巷で騒がれているSDGsなどは、本当のエコロジーではない!ストローをプラスチックから紙製に変えたり、本革の使用をやめて合皮にしたり、このようなことはファッション的なエコで、エコの上辺だけをすくって環境にやさしいことをしているような気になっているだけである」
と強い口調で語った。
「本来、革は食用として利用され、その副産物として皮革ができる。この点で、本革がエコの敵とみなされるのは間違っており、本革こそ持続可能な素材であるし、本当の意味でのエコは、本当に必要なものや欲しいものだけを買って、それを大切に長く使うこと。これこそ本物である」とも。
本革を使う意味は、PLOTTERもメッセージを発してきたが、その素材ブランディングを後押ししてくれるこれらの言葉は心強いばかり。本革という自然素材の恵みに心から感謝するとともに、そのサスティナブルな機能性にPLOTTERはあらためて着目したい。
『 身の丈にあった生産量』
本当に良い素材をいつまでも作り続けるためにはある意味己の限界や適正値を知ることがとても重要。今もブレずにその思想を携えながら作っているバダラッシの革だから、そこにかけがえのない品質の高さと価値が生まれるのはごく自然なことだ。彼らの革にレア感があるのは、タンナーとして昔ながらの伝統技術を継承し、頑なにそれを守り続けているが故の当然のこと。大量生産が当たり前の時代にあって、そのビジネスライクな資本主義スタイルと一線を画し、「私たちが作っている素材の良さを本当に理解してくれる人にだけモノが届けば十分」という割り切ったコンセプトはもはや神々しさまで覚えてしまう・・・
そんなシモーネ氏も、自ら作り出した革“ Pueblo ”のユーザーでもある。会話をしている最中も常に筆の動きは止まらず、気が付いたら美しい似顔絵が仕上がっていた。そして氏からはこんな嬉しい言葉も・・・
「バタラッシの革を使用している商品をたくさんのブランドで色々見させていただいているが、実は本当に良いと思うものは少ない。PLOTTERは素材を生かしているし、使いやすい。持って何をしたいかすぐに浮かぶ、素晴らしい商品!」と。
光栄至極!
実際にPLOTTERツールを使っていただく人への想いをはせつつ、革や金属などの自然素材の個体差を受け入れ、本物のモノづくりについて本質的なメッセージをこれからもPLOTTERらしく伝えていきたいと、初心に帰る貴重な一日となったのは間違いない。